絵本の読み聞かせとオリジナルの絵本作り
子どもは絵本が大好きで、私も子育てをしていく中で、その面白さに深くハマった一人です。子育ては、楽しいこともある反面、親にとっては忍耐という試練を与えられる場でもあるので、絵本がなかったらあの厳しい毎日を乗り越えられなかったと思います。大袈裟ではなく、いや本当に。マジで救われていました。
今ワークショップで読んでいる「もうママったら!」(文溪堂刊)は、私の絵本のデビュー作品ですが、読み聞かせをして子どもたちの反応が見れるのは、最高に嬉しいことです。大盛り上がりで喜んでもらえると単純に作家冥利に尽きるのです。
ワークショップでは、読み聞かせの後にオリジナルの絵本を作ってもらうのですが、説明の時に、この絵本のモデルは偏食の多かった愛娘やその時飼っていた犬だったという話などの裏話をすると、子どもたちは目を輝かせて聞いてくれます。どの年齢も裏話は面白いのでしょう。私も裏話、大好きです。作り手の話を聞く機会は大人でもそうそうありませんから、こんな私の話でも、たぶんきっと貴重な機会なのだと思います。
因みに、大昔ですが、私が幼稚だった頃は、田舎だったということもありますが、絵本を作っている人にまで頭が及ばないというか、考えたこともありませんでしたから、こういう機会を子ども時代に与えられた子どもは、きっと考えることも違ってくるのだろうなと羨ましく思えます。
さて、ワークショップでは、いろいろな子どもたちに出会いますので、そのエピソードを少しご紹介したいと思います。
いろいろな子どもたち
描けないと言って、泣き出す子ども!?
作ってもらう絵本は、色をテーマにし、そのテーマの色で自分が好きなものを描いてもらうのですが、ある日説明をしていると、ピカチュウが好きという子どもが、「じゃあ、ピカチュウでもいいの?」と聞いてきたので、好きなものなら、なんでもいいと答えると、それを聞いていた他の男の子が突然泣き出してしまいました。
幼稚園では、思いもしないところで泣き出す子どもがいたりすることはよくありますが、訳を聞くと、どうやらピカチュウが描けず、おまけに好きなものがないから描けないと言って泣くのでした。
「泣かなくても大丈夫。手伝うから一緒に考えよう」と言って、その子のところへ行って、好きなものは何か、それをどうやって描くかなど、子供の話を聞き、少しづつ描くよう励ますと、だんだんと自信がついてきたようでした。最終的にこの子は誰よりも個性的で素敵な絵を自信満々で描くようになっていましたから、やはり子どもひとりひとりに寄り添うことは大事なことだと思います。
1テーブルに4人の園児を座らせていたのですが、その子に付き添って話をしていると、同じテーブルの他の子たちもそれを聞いていて、良い行動を始めてくれたりすることがよくあります。他の子たちに直接何も言っていなくても、私がその子に言ったことを聞いていて、自ら考え動き出すのです。こういう時は、子どもって凄いなあとつくづく思います。凄いなあと思って、そのことを褒めると、また更に良いことをし始めてくれたりしますから、そういう時は、みんな笑顔になって本当に良い雰囲気になります。
ゆびに絵の具をつけたくないという子ども!?
絵本の絵は、指に直接絵の具をつけて、自由に描いてもらうのですが、これを嫌がる子供が一定数います。最近は、汚れるような遊びをしないからなのか、汚れることを嫌がったり、感触を嫌ったりします。
粘土のベトベトが気持ち悪いと言って嫌うのと同じですが、この時も「面白いからやってみて!」と誘い、励まし、挑戦してもらいます。パレットが綺麗なままで、絵もちょっと描いて終わりにしようとする子もいますが、手取り足取り励まし続けると、これも少しづつ変わってきて、最後には「まだやりたい!」と言ってきたりするくらい変わったりします。そして、挑戦したことを褒めると、明らかにどの子もいい顔をします。強要するのはよくないと思いますが、苦手なことに挑戦させることは悪いことではないと私は思っています。特に、子供の頃に挑戦して出来たり、楽しかったりする経験は、その後もずっと良い記憶として残るものだと思っています。
「これが絵本とは、思わなかった」と、がっかりする子ども!?
自分の絵本が出来た後、一人の園児がふと気づいたように「これが絵本とは、思わなかった」と、がっかりしたように私に言ってきました。
どうやら物語絵本と思っていたようだったので、絵本にはいろいろな種類があることを伝え、「今日作ってもらった絵本には、あなたの好きなものをたくさん描いてもらったから、これは世界に一冊しかないあなただけの絵本です」と言うと、世界に一冊という言葉が響いたらしく、嬉しそうな顔をしてくれたは印象的でした。
まとめ
子どもは、絵本が大好きで、大人が思う以上のことを絵本から吸収します。まさに絵本は、子供のエンターテインメント!子どもをいろいろな世界に連れて行ってくれるだけでなく、大人にもたくさんの気づきを与えてくれます。絵本は子育てに欠かせないものです。なので、こういうワークショップが、幼稚園や保育園、学校などでもっと広がってくれると良いなあと願いつつ、伝道活動をしております。
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